【新型コロナウイルス】感染症予防のために車いすユーザーが行うべきこと

2020年04月15日

新型コロナウイルスの感染は広がっており、収束にはまだまだ時間がかかることが予想されます。今回は車いすユーザーのみなさまが特に行うべき予防策をお伝えします。

要約

今回の記事は、北米リハビリテーション工学協会が4月6日に出した注意喚起を、一般社団法人日本リハビリテーション工学協会が翻訳したものを参考にしています。

これによると、ウイルスは車いすのハンドリムや、頻繁に触れるハンドグリップやフレームでも生き残ることができると報告されています。そこで大切になるのが

①手の清潔
②車いすの清潔
③社会的距離


の3点。詳しくは後ほど解説します。
とにかく、本当に大事なところだけまとめると

1.食前食後によく手を洗い、抗菌ウェットティッシュで手を拭く
2.車いす(特にハンドリム、タイヤ、ジョイスティック)、その他支援機器を抗菌石鹸で湿らせた洗車布または抗菌ワイプで拭き取る
3.社会的交流場面では、他の人との距離が2メートル以上であることを確認し、医療用ないし代替えフェイスマスクを着用する


となります。
 

①手の清潔

タイヤに直接手を触れなくても、ウイルスは地面からタイヤ、タイヤから手やハンドリムに付着します。
図にあるように、地面・床面からウイルスを拾い上げる形となるわけですね。

この図は怖いですね・・・。

そのため「手洗い」は、やっぱりすごく重要です。家に帰った際には、石鹸で最低20秒は手を洗ってください。

また、グローブを着用することも一つの方法ですが、グローブの表面にウイルスが付着する可能性があるので、外した際の置き場所には配慮が必要となります。


ただ、実際のところ、どのぐらいのウイルスがこのように付着するのかは言及されていません。なので、必要以上に怖がる必要はないと思います。

でも、確かに個人的にもタイヤに手が触れるとなんとなく嫌だなぁ、汚いよなぁとは以前から思っていたので、これを機に「手の清潔」については今まで以上に気をつけていきたいと思います。

②車いすの清潔

タイヤ、ハンドリムだけでなく、ブレーキやアームサポート、レッグサポート、手押しハンドルなど、車いすのよく触れる部分を清潔に保つというのも非常に重要です。

結局、いくら手を綺麗に洗っても、よく触れる部分にウイルスが付着していたら意味がないということですね。
手洗いや手指消毒ほど頻繁に拭いたりすることは難しいと思いますが、それでも定期的に抗菌・消毒成分を含んだタオルやウェットティッシュで拭いておくことで感染のリスクはグッと下がると思います。

僕自身も頻繁に車いすの隅から隅まで拭くことはなかなかできないのですが、職場に手指消毒液が置いてあって、手を消毒するついでにティッシュにも少し染み込ませるんですね。
それで車いすを漕ぐと、よく触るハンドリムはぐるっと消毒できるので、そういう風に「それぞれができる工夫」をしていけるといいなぁと思います。
 

③社会的距離

車いすユーザーは、他の人よりも低い位置にいます。なので、立った人と話す場合、より多くの飛沫にさらされる可能性が高くなります。

これの対策としては、周囲の人と2メートル以上の距離をあけることです。

今は一般的にも2メートル以上距離をあけましょうということで、みなさんも気をつけている事かと思いますが、車いすユーザーも例外ではないということですね。
逆にこれに関しては、他の人よりも低い位置にいるということで、車いすユーザーはむしろ2メートル以上、できれば2.5メートルぐらい距離を取れればいいのかなぁと思います。

最後に

ということで、感染症予防のポイントを3つ紹介させていただきました。
基本的には今、世間で言われていることと同じなのですが、やはり車いすユーザーだからこそ特に気をつけなければいけないポイントというか、観点があったと思います。

それは、決して恐れるためのものではなく、自分自身を守り、そして人を守るためにあるものです。

まだこの事態の収束には時間がかかると思いますが、みんなで助け合って、思い合って乗り越えていきましょう。
 

出典:北米リハビリーテーション工学協会
https://www.resna.org/Resources/COVID-19-Resources

資料執筆者
ピーター・アクセルソン 
(自走式車椅子ユーザーで車椅子メーカー Beneficial Designs社のリーダー)

■日本語翻訳版
翻訳: 石濱 裕規・剣持 悟・桂 律也(一般社団法人日本リハビリテーション工学協会 理事)
注意勧告:車椅子・支援機器ユーザーのみなさまへ
COVID-19の予防

【日本語版資料】
https://www.resja.or.jp/data/precautions.pdf

【英語版資料】
Wheelchair and Assistive Technology Users Precautions for Covid 19


※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。

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